2020年6月30日火曜日

自筆証書遺言書保管制度

  令和2710日、法務局で遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」が始まります(法務局における遺言書の保管等に関する法律)。

これは、自筆証書遺言を法務局で預かり保管する制度です。自筆証書遺言は自己の責任で保管しますので、紛失・隠匿・改ざんのリスクがあり、そのため相続人間における紛争が生じやすい側面があります。また、自筆証書遺言は遺言者が亡くなった後も発見されないこともあり、そうすると折角遺言書を作成しても遺言者の最終意思が実現されません。そこで、法務局で自筆証書遺言を保管することにより、相続手続きが円滑に進められ、また遺言者の最終意思が実現されることが期待されています。

現在,全国で312か所の法務局が「遺言書保管所」として指定されています。
 
 遺言を預ける手順は以下の通りです。

まず、要件を満たした自筆証書遺言をご自身で作成します。遺言書保管所は遺言書を保管するだけで、遺言書の内容や作成について相談することはできませんのでご注意ください。形式面での注意事項や様式例は法務省のホームページに掲載されています。

作成後、遺言書保管所に予約をします。保管の申請ができるのは、遺言者の「住所地」「本籍地」「所有する不動産の所在地」のいずれかを管轄する遺言書保管所です。管轄は法務省のホームページに掲載されています。

予約した日時に遺言者ご本人が遺言書保管所に出向いて保管を申請します。必ずご本人が行くことが必要であり、代理人による申請はできません。申請時には住民票や本人確認書類等の必要書類がありますので事前によくご確認下さい。手数料は遺言の保管の申請1件につき3,900円です。手続きが完了すると保管証が交付されます。遺言書保管所に預けた後、遺言書の閲覧を請求したり、撤回(返却)を求めることもできます。また、氏名や住所等に変更が生じたときは届出をします。

遺言書保管所に遺言書を預けたら、そのことをご家族に伝えておくと、後の相続手続きがスムーズになるかと思います。

 次に、相続人や受遺者の側の手続きです。

遺言者が亡くなった後、自己が相続人や受遺者等になっている遺言書が保管されているか否かを遺言書保管所で確認することができます(遺言書保管事実証明書の請求)。

遺言書が保管されている場合には、遺言書情報証明書の交付請求や閲覧請求をして遺言書の内容を確認することができます。この場合、他の相続人等にも遺言書が保管されていることが通知されます。

なお、遺言書保管所に保管されていた遺言書は裁判所での検認は不要です。
  
 この制度は自筆証書遺言が対象ですが、公正証書遺言もよく利用されます。それぞれにメリットやデメリットがありますので、ご自身のご希望にあわせて選択されるといいですね。

                                 弁護士 若林

2020年6月22日月曜日

レジ袋の有料化

今月も残り10日弱になりました。
7月1日から、レジ袋の有料化がスタートします。
私は、もともと、エコ・環境問題に関心があったので、以前よりマイバックの使用をしています。 しかし、必ずレジ袋をもらうときがあります。お昼を買う時です。このときばかりは、レジ袋にいれてもらい、食べ終わったらそのまま捨てる。そのためにレジ袋が必要でした。

大手コンビニ3社は1枚3円で販売することが決定しています。
毎日3円で購入すると、3円×20日(おおよそのひと月の勤務日)=60円。
塵も積もればなんとやらで金額も気になるところではありますが、それよりも、レジ袋がなくなったらどうやってお昼の食べゴミを捨てようか、その新たな問題が・・・・非常に悩ましい。

ちなみに、下記の条件に当てはまるものについては有料化の対象外になるそうです。
①プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上の繰り返し使用可能もの
 →繰り返し使用できることでプラスチック製買い物袋の過剰な使用抑制に寄与
②海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
 →微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買い物袋は海洋プラスチックごみ
  題対策に寄与
③バイオマス素材の配合率が25%以上のもの
 →植物由来がCO2総量を変えない素材で、地球温暖化対策に寄与
 
新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにはマイバックの使用は控えた方がいいとのニュースも耳にする中、レジ袋が有料化。 どっちの対策を優先するべきなのか・・・
当面は、環境問題も気になりながら3円で購入することになりそうだなぁ


                                       事務局I
 
 
 
 
 
  
 
 
 
                                 
  

2020年6月11日木曜日

パワハラ防止法が施行されました


6月1日からパワハラ防止法が施行されました。

当事務所では添付写真のような形で壁に掲示し、所属弁護士、事務員に周知しております。

あとはマニュアル作成や就業規則の改訂をしなくてはなりませんね。

 

                                                                                                                                  弁護士 草道
 


パワハラ防止法施行


 本年6月1日、改正労働施策総合推進法などが施行されました。


この法律は、いわゆるパワハラ防止法と呼ばれる法律で、事業主は、パワハラ防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務となります(なお、中小事業者については、2022年3月1日までは努力義務です。)。
 
 この法律における職場でのパワハラとは、①優先的な関係を背景とした言動②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの③労働者の就業環境が害されるものという3つの条件がすべてそろった場合と定義されています。


 それぞれどのような場合が当たるのか、例も示されており、これまでよりパワハラとされる内容が明確になったと思います。
 
また、大企業は6月1日から、中小事業者も2022年4月までには、以下のような対応を取る必要があります。

  事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  ・パワハラの内容、行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
   こと
  ・パワハラの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則
   に規定し、労働者に周知・啓発すること


  相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  ・相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
  ・相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること

  職場におけるパワハラへの事後の迅速かつ適切な対応
  ・事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  ・事実関係の確認ができた場合には速やかに被害者に対する配慮のための対応行為
   者に対する対応を適正に行うこと
  ・再発防止に向けた対応をすること


  併せて講ずべき措置
  ・相談者・行為者等のプライバシーを保護するための対応をし、労働者に周知する
   こと
  ・事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したことなどを理由として、解雇そ
   の他不当な取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発するこ


今後は、事業者が、これらの対応をしているかどうかも、労働紛争が生じた時に大事な要素となってくると思われますので、中小事業者も今から対応策のご準備を始めておくことをお勧めします。

                                弁護士 草道