2021年4月20日火曜日

フジTV月9ドラマ「イチケイのカラス」

  4月からフジテレビで「イチケイのカラス」(原作者(マンガ):浅見理都氏)という裁判所刑事部の裁判官を主人公にしたドラマが始まりました。

  弁護士や検事が主人公のドラマはたくさんありますが、裁判所を舞台に裁判官が主人公というのはとても珍しいのではないでしょうか。

裁判官は基本的には裁判所内で執務を行いますし、動きが少ないのでドラマとして見どころを作るのはなかなか難しそうです。その昔、主人公の女性裁判官が自宅官舎の押し入れから担当事件の凶器が発見するという謎の展開のサスペンスドラマがありましたが、それくらい思い切らないとドラマに難しい題材なのでしょうか…。

  「イチケイのカラス」はもちろんドラマならではの現実離れした展開が多々ありますが(裁判長がイケメン過ぎるというところが一番現実離れ?)、原作のマンガではかなり忠実に裁判所の様子や裁判官や関係者のマインドが描かれているのではないかと思います。4巻で終わってしまったのが非常に残念ですが、ドラマ化をきっかけにまた続編が描かれることを期待しています。

                             弁護士 佐竹


2021年4月16日金曜日

監護者の指定の審判申立人について

 本年3月29日、最高裁判所は、未成年の子どもを育てる「監護者」に父母に代わって祖父母がなれるかが争われた審判で、父母以外の第三者は監護者になる申し立てができないという初めての判断を示しました。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

 家庭裁判所、高等裁判所での決定が取り消され、実質審理がなされない、いわゆる門前払いの「却下」です。

報道によれば、一審、二審が、長年孫(子)の面倒を見てきた祖母を監護者と指定する、相応の事情が認められる事案だったといえます。

 

父母も様々な父母がいること、親の離婚や事情により親に代わって祖父母らが実質的に子を養育している家庭も少なくないこと、また、なによりも子ども自身の気持ちなどを考えると、監護者の指定の申立てを一律に父母のみにしか認めないという最高裁の判断には疑問が残ります。

もっとも、法制審議会において子どもの養育をめぐる制度の見直しは既に始まり法改正の可能性があるところですので、今後の議論に注目したいと思います。


                                                        弁護士 佐竹

 

2021年4月2日金曜日

不動産の相続手続について

相続した不動産について、その登記名義を気にされたことはありますか。

不動産の登記名義人を亡くなった方のままにしていても、住んでいるだけであれば実害はないということで、そのままにしている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、不動産を売却したりする場合には相続登記を行わなければなりません。

何代も相続登記をしないままにしていると、後で手続をするのが大変になることがあります。

今回のブログでは、相続の一般的な説明については割愛させていただきますが、相続が起こるたびに関係者となる相続人はどんどん増えていきます。

不動産を処分しようと思って、いざ登記名義を移そうとするときに、まったく面識のない相続人がいたり、相続人が多数すぎて連絡をとるのが困難となったりします。

 

私が過去に接した事案では、不動産の相続人が50人以上であることが判明し、登記名義を移すためだけに、50人以上を相手にした訴訟を提起しなければならなかったという例がありました。

このような事例では、相続人が誰なのかについて、戸籍を取り寄せて調べるだけでも相当の時間を要します。

また、戸籍を調査しても所在がわからない人がいる場合には、訴訟提起のために不在者財産管理人選任の申立てをするなど、また別の手続が必要になります。

このような状態になる前に、早めに相続登記を行うことをおすすめします。

 

なお、現在、相続登記を義務化する法律の改正が進んでいます。

その背景には、持ち主がわからないまま放置されている不動産が増えており、公共事業に支障が出たり、不動産の有効活用に問題が生じたりしているということがあります。

改正案は、相続により不動産を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記の申請をすることを義務化するとともに、これを怠った場合には10万円以下の過料に処するという内容になっています。

この改正法は2023年に施行されることが予定されています。

 

                                                                                                        弁護士 粕谷