2012年10月16日火曜日

障害者虐待防止法


「障害者虐待の防止,障害者の擁護者に対する支援等に関する法律」(略して障害者虐待防止法)が本年101日から施行されました(平成23624日公布)。

 障害者に関する法律としては障害者基本法という法律があります。これは,障害者の方々に対する支援などの基本的な事柄を定めたものです。
 一方,障害者虐待防止法は,障害者の方々に対する虐待の防止や障害者を養護する方に対する支援に特化したものといえます。

 虐待が許されないのは言うまでもありません。虐待をすることにより傷害を負わせたりすると刑法の傷害罪などの罪に問われます。
 しかし,虐待は,家族間,障害者福祉施設内,事業所内で行われることがしばしばあるために第三者からは発見しにくい面があります。また,個人情報やプライバシー,家族の問題として虐待をとらえてしまうと,虐待を発見しても第三者が然るべき機関に通報することには躊躇を覚えかねません。
 その結果,発見や通報が遅れたために障害者の人権が侵害されることが看過されることはあってはなりません。

 障害者虐待防止法は,何人も障害者を虐待してはならないという当然のことを明らかにしたほか,家族間,障害者福祉施設内,事業所内で虐待を発見した者は誰であっても市町村へ通報することが義務付けられました。この通報をした場合でも守秘義務違反に問われません。
 通報を受けた市町村や市町村から報告を受けた都道府県や労働局は,然るべき措置を執り,執った措置などを公表することになります。

 素直な感想として,今まで虐待に関する法律がなかったのは驚くべきことですが,障害者(だけに限りませんが)に対する虐待がない社会に向けて,国民全員が今からでも取組まなければなりません。


弁護士 H

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