2021年7月1日木曜日

夫婦別姓を認めない規定の合憲性について

 夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定の合憲性が争われた事件で、623日、最高裁は「合憲」と判断しました。

夫婦別姓を認めない規定の合憲性については、平成27年に最高裁が「合憲」と判断しており、今回、社会情勢の変化を踏まえて最高裁がどのような判断をするか注目されていました。今回の最高裁決定も平成27年判決と同じ立場を取り、その後の女性の有業率の上昇や女性管理職の割合の増加等の事情を踏まえても判断を変更すべきとは認められないとしました。

この件は選択的夫婦別姓の是非という形で議論されることが多いかと思いますが、選択的夫婦別姓制度については、平成27年判決同様、国会で議論されるべきことであるという考えを示しました。子の姓をどうするかなど、実務上検討を要する点は諸々あろうかと思いますが、選択的夫婦別姓制度の導入に向けて必要な議論が進められるとよいと思います。

                                                          弁護士 若林

2021年5月7日金曜日

司法研修所教官を拝命しました

 昨日5月6日、司法研修所教官(刑事弁護)を拝命しました。

 司法研修所とは、最高裁判所に設置された機関で、司法試験に合格した司法修習生が民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の各科目を勉強する場所で、埼玉県和光市にあります。司法修習生は所定の修習を終えて国家試験である考試に合格すると、裁判官、検察官、弁護士などの法曹として巣立っていきます。ちなみに、法曹界では、考試のことを司法試験に続く2回目の試験ということで2回試験と言っています。

 現在の司法修習生は、司法研修所での導入修習後、各地での実務修習を経て、再び司法研修所に戻って集合修習を受けた後、2回試験に合格して各々法曹として巣立っていきます。なお、今はコロナ禍のために、WEBを通じての講義が実施されました。

 私も、かつては司法研修所で勉強し、お世話になった場所です。現在とは修習期間などが違いますが、当時も、修習のために充実した環境、寮生活における同期修習生との交流など、思い出深いところです。

 昨日、辞令を受け取りに司法研修所に行ったのですが、非常に懐かしく当時のことを思い出しました。

 修習生の皆さんに充実した修習をしてもらえるよう万全の準備で臨みたいと思います。


                               弁護士 廣田

2021年4月20日火曜日

フジTV月9ドラマ「イチケイのカラス」

  4月からフジテレビで「イチケイのカラス」(原作者(マンガ):浅見理都氏)という裁判所刑事部の裁判官を主人公にしたドラマが始まりました。

  弁護士や検事が主人公のドラマはたくさんありますが、裁判所を舞台に裁判官が主人公というのはとても珍しいのではないでしょうか。

裁判官は基本的には裁判所内で執務を行いますし、動きが少ないのでドラマとして見どころを作るのはなかなか難しそうです。その昔、主人公の女性裁判官が自宅官舎の押し入れから担当事件の凶器が発見するという謎の展開のサスペンスドラマがありましたが、それくらい思い切らないとドラマに難しい題材なのでしょうか…。

  「イチケイのカラス」はもちろんドラマならではの現実離れした展開が多々ありますが(裁判長がイケメン過ぎるというところが一番現実離れ?)、原作のマンガではかなり忠実に裁判所の様子や裁判官や関係者のマインドが描かれているのではないかと思います。4巻で終わってしまったのが非常に残念ですが、ドラマ化をきっかけにまた続編が描かれることを期待しています。

                             弁護士 佐竹


2021年4月16日金曜日

監護者の指定の審判申立人について

 本年3月29日、最高裁判所は、未成年の子どもを育てる「監護者」に父母に代わって祖父母がなれるかが争われた審判で、父母以外の第三者は監護者になる申し立てができないという初めての判断を示しました。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

 家庭裁判所、高等裁判所での決定が取り消され、実質審理がなされない、いわゆる門前払いの「却下」です。

報道によれば、一審、二審が、長年孫(子)の面倒を見てきた祖母を監護者と指定する、相応の事情が認められる事案だったといえます。

 

父母も様々な父母がいること、親の離婚や事情により親に代わって祖父母らが実質的に子を養育している家庭も少なくないこと、また、なによりも子ども自身の気持ちなどを考えると、監護者の指定の申立てを一律に父母のみにしか認めないという最高裁の判断には疑問が残ります。

もっとも、法制審議会において子どもの養育をめぐる制度の見直しは既に始まり法改正の可能性があるところですので、今後の議論に注目したいと思います。


                                                        弁護士 佐竹

 

2021年4月2日金曜日

不動産の相続手続について

相続した不動産について、その登記名義を気にされたことはありますか。

不動産の登記名義人を亡くなった方のままにしていても、住んでいるだけであれば実害はないということで、そのままにしている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、不動産を売却したりする場合には相続登記を行わなければなりません。

何代も相続登記をしないままにしていると、後で手続をするのが大変になることがあります。

今回のブログでは、相続の一般的な説明については割愛させていただきますが、相続が起こるたびに関係者となる相続人はどんどん増えていきます。

不動産を処分しようと思って、いざ登記名義を移そうとするときに、まったく面識のない相続人がいたり、相続人が多数すぎて連絡をとるのが困難となったりします。

 

私が過去に接した事案では、不動産の相続人が50人以上であることが判明し、登記名義を移すためだけに、50人以上を相手にした訴訟を提起しなければならなかったという例がありました。

このような事例では、相続人が誰なのかについて、戸籍を取り寄せて調べるだけでも相当の時間を要します。

また、戸籍を調査しても所在がわからない人がいる場合には、訴訟提起のために不在者財産管理人選任の申立てをするなど、また別の手続が必要になります。

このような状態になる前に、早めに相続登記を行うことをおすすめします。

 

なお、現在、相続登記を義務化する法律の改正が進んでいます。

その背景には、持ち主がわからないまま放置されている不動産が増えており、公共事業に支障が出たり、不動産の有効活用に問題が生じたりしているということがあります。

改正案は、相続により不動産を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記の申請をすることを義務化するとともに、これを怠った場合には10万円以下の過料に処するという内容になっています。

この改正法は2023年に施行されることが予定されています。

 

                                                                                                        弁護士 粕谷

2021年3月29日月曜日

 28日(土)はお天気もよく桜満開🌸でしたので、お花見散歩をしました。

今年は桜を愛でることができてよかったです🌸🌸


                              事務局

 

                              


2021年2月26日金曜日

コロナの影響で債務の返済にお困りの方々へ

~被災ローン減免制度の適用が始まっています~

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で緊急事態宣言や外出・営業自粛が続く中、多くの方が、収入が減少するなどして、住宅ローンやカードローン、事業用借入金等の返済に悩まれているのではないでしょうか。

昨年12月1日より、このような方に『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』(被災ローン減免制度)が適用されることになりました。

このガイドラインは、東日本大震災をきっかけに誕生しました。これは、自然災害前から債務を負っていた方が、自助努力で生活や事業を再建していくことを後押しするための枠組みです。具体的には、自己破産するのではなく、裁判所の特定調停という手続を使って債務を整理することになります。

このガイドラインを利用するメリットとして、①住宅などの資産を手放す必要がないこと、②金融機関のいわゆるブラックリストに載らずに債務を整理できることが挙げられます。なお、手続を進めるためには債権者の同意が必要となります。

このガイドラインを利用した場合は、弁護士等の「登録支援専門家」が、必要書類の作成・返済計画の策定・債権者との折衝等を支援します。当事務所でも、登録支援専門家に登録した弁護士が支援業務を行っております(ただし「登録支援専門家」は、支援団体(弁護士会など)による配てん制となっていて、本人が自由に選ぶことはできません。)。

 

このガイドラインを利用できるかどうかは、借入先がどこか、借入日がいつなのか、これまでの返済状況はどうだったか、などが関係しますので、一度ご相談いただくことをお勧めします。当事務所にご相談いただくことももちろん可能です(無料相談可)。

 

一口に債務整理といっても、任意整理(裁判以外での和解)・個人再生・自己破産・被災ローン減免制度の利用など様々な選択肢があります。どの方法を選択するのがベストなのかは、一人ひとりが抱えているご事情によって変わってきます。その方にとってベストな解決に導くためには、相談内容を丁寧に聞き取ることや、弁護士が新しい制度にも対応できるようにしておくことなどが求められます。これは債務整理に限らず、どんな種類の事件でも、弁護士に求められる資質だと考えています。

当事務所では、今後も様々な問題に直面されている皆さまに寄り添いながら、一人ひとりにとってベストな解決に導くために、各弁護士が全力を尽くしてまいります。

(弁護士 久保田)