相続した不動産について、その登記名義を気にされたことはありますか。
不動産の登記名義人を亡くなった方のままにしていても、住んでいるだけであれば実害はないということで、そのままにしている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不動産を売却したりする場合には相続登記を行わなければなりません。
何代も相続登記をしないままにしていると、後で手続をするのが大変になることがあります。
今回のブログでは、相続の一般的な説明については割愛させていただきますが、相続が起こるたびに関係者となる相続人はどんどん増えていきます。
不動産を処分しようと思って、いざ登記名義を移そうとするときに、まったく面識のない相続人がいたり、相続人が多数すぎて連絡をとるのが困難となったりします。
私が過去に接した事案では、不動産の相続人が50人以上であることが判明し、登記名義を移すためだけに、50人以上を相手にした訴訟を提起しなければならなかったという例がありました。
このような事例では、相続人が誰なのかについて、戸籍を取り寄せて調べるだけでも相当の時間を要します。
また、戸籍を調査しても所在がわからない人がいる場合には、訴訟提起のために不在者財産管理人選任の申立てをするなど、また別の手続が必要になります。
このような状態になる前に、早めに相続登記を行うことをおすすめします。
なお、現在、相続登記を義務化する法律の改正が進んでいます。
その背景には、持ち主がわからないまま放置されている不動産が増えており、公共事業に支障が出たり、不動産の有効活用に問題が生じたりしているということがあります。
改正案は、相続により不動産を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記の申請をすることを義務化するとともに、これを怠った場合には10万円以下の過料に処するという内容になっています。
この改正法は2023年に施行されることが予定されています。
弁護士 粕谷